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2010.04.28up
レイヤードやボリュームルックが台頭 2010-11秋冬NYコレクション解説
モードの発火点としてファッション界を挑発し続けているニューヨークコレクション。2010-11年秋冬でもその勢いは衰えを見せず、レイヤードの新スタイリングや、進化したボリュームルック、ミニマリズムの発展形などが発信された。ロマンチック&ガーリー、ネオプレッピーなどの新トレンドもランウェイを華やがせ、NYデザイナーたちの時代を読む感度の高さを証明した。 レイヤードは以前からある基本的な着こなしテクニックだが、NYコレクションの新提案は「視線を裏切る、遊び心いっぱいの重ね着」。レイヤードの持ち味である立体感は生かしながらも、厚着して見えにくい新趣向。例えば、実際は1枚のジャケットなのに、コートとジャケットを重ね着しているように見えるデザインや、ジャケットとベストを縫い付けて1枚に仕上げたものなど、ウィットにあふれるアイデアがいくつも登場して目を驚かせた。 さらに、実際には何枚も着ているのに、厚ぼったく見えない不思議なスタイリングがいくつものブランドから示された。ふくらんで見えにくいどころか、かえってシャープにすら見える「だまし絵(トロンプルイユ)」的なレイヤードは鮮度が高い。部分的に肌をのぞかせたり、色バランスを工夫したりと、重たく見えないアレンジも利いている。 異素材とのミックスはレイヤードの新流儀。布とニット素材を組み合わせるのに加え、布とレザーやファー、さらにはレザーとファーという動物系素材同士のラグジュアリーなクロスオーバーも相次ぎ、選択肢を広げた。 2010-11年秋冬のランウェイから数々のブランドが驚きを与えたのは、ボリュームの再発見。オーバーサイズやコクーンシルエットではなく、首や肩口にサプライズなふくらみを持たせ、ぬくもりや愛らしさを寄り添わせた。 上半身にふくらみを持たせ、ボトムはタイトまたは薄手という、上下で相反する量感を際立たせるのが、目立ったアプローチ。ネックウォーマー、着ぐるみ風ファー、ハンドマフなど、ボリューム感を印象付ける様々なパーツが披露された。 スタイリッシュなリアルクローズに強みを持つNYコレクションだが、今秋冬ではフェアリー(妖精)ライクなロマンチック&ガーリーな傾向も見られた。フリルをたっぷりあしらった甘めのミニスカートや、レーシーなブラウス、清楚テイストな純白レギンスなどがコケットなたたずまい。いくつものデザイナーが好んで使ったヴェルヴェットの妖しいつやめきにも、しなやかな女性観が宿った。 英国トラッドを米国風にアレンジし直したネオプレッピーはフェミニンに進化を遂げた。ツィード素材のジャケットや、チェック柄シャツ、コードタイなどのメンズアイテムを持ち込みつつ、かえってキュートにひねり返すスタイリング。 無駄をそぎ落としたミニマルなシェイプが帰ってきた。でも、無愛想気味のシンプルではなく、今度のミニマルは体温やユーモアが感じられる「人肌」仕様。ラウンドを配した肩や袖のカッティングや、首周りの曲線美に優美さを忍び込ませた。ベーシックなフォルムはミニマルに整えながらも、細部に遊びや手仕事を凝らして、ありきたりではないシンプリシティを引き出すミニマルの試みが見られた。 ◆Rodarte(ロダルテ) ディテールに凝った、ハンドクラフト仕上げの作風で評価の高い「Rodarte(ロダルテ)」はこれまでで最もロマンチックでガーリーなコレクションで新たな領域に踏み込んだ。バレリーナのように足首に巻き付けた純白の帯や、膝下丈のソックス、透ける柄レギンス、真っ白なタイツが愛くるしい。襷(たすき)のような色帯を巻き付けたり垂らしたりするのも、「ロダルテ」らしい幻想的な演出。水彩画をまとったようなドレス、フリンジで覆い尽くされた膝丈スカートは優美な女性像を立ちのぼらせる。マフラーと溶け合ったかのような片袖ボレロ、カシュクール風に重ね合わせたミニスカートなどに、ドリーミーな着想を惜しげもなく注ぎ込んで、ファンタジーを現実に変えた。 Rodarte 2010-11秋冬NYコレクション Rodarte 2010-11秋冬NYコレクション Rodarte 2010-11秋冬NYコレクション Rodarte 2010-11秋冬NYコレクション ◆ALEXANDER WANG(アレキサンダー・ワン) 型破りの着想で、トレンドの突破口を開き続ける「Alexander Wang(アレキサンダー・ワン)」。今シーズンはレイヤードの常識を書き換えてみせた。ファーストルックから縦ストライプのスーツスタイルを見せたが、ボトムスはマイクロミニで、レッグラインを包むのはサイ(もも)ハイのレッグウォーマー。パンツスーツ風のルックでも、ショート丈トップスから素肌がのぞく。ロングコートにもビッグスリットを入れて、袖をのぞかせた。それぞれのアイテムがややバラバラにも見える重ね方が新しさを感じさせる。 ALEXANDER WANG 2010-11秋冬NYコレクション ALEXANDER WANG 2010-11秋冬NYコレクション ALEXANDER WANG 2010-11秋冬NYコレクション ◆3.1 Phillip Lim(3.1 フィリップ・リム) 「3.1 Phillip Lim(3.1 フィリップ・リム)」はポンチョや襟なしコートなどのアウターを薄手素材で重ね、かさばらないレイヤードを披露。厚みや風合いの異なるワンピースやスカートを引き合わせて、重層的なミックスコーデに仕上げている。それぞれのパーツはミニマルな飾らない仕立てだが、計算された色バランスや異素材感が互いを引き立て合う。ファーコートの下にレザージャケットを着込むというヘビー系レイヤードも、両方の前を開けたり、レザーの袖を出したりして、ファーでくるまれたような見栄えを避ける着方を提案した。 3.1 Phillip Lim 2010-11秋冬NYコレクション 3.1 Phillip Lim 2010-11秋冬NYコレクション 3.1 Phillip Lim 2010-11秋冬NYコレクション ◆DEREK LAM(デレク・ラム) 米国西部風のカウガール・ルックをアレンジして、レイヤードとも1枚仕立てとも見えるトリッキーな装いを考案した「Derek Lam(デレク ラム)」。キャメルカラーのワンピースは一見、ひじから先が黒革に切り替わっているようにも、下にレザーを着込んでいるかのようにも見える。異素材を組み合わせて、視覚をあざむく洒落た仕掛けだ。黒レザージャケットの下から白いシャツの襟、裾をのぞかせるモノトーンのレイヤードは全体にきりりと引き締まって見える。色数を抑えて、すっきりとまとめ上げつつ、素材感やカッティングを生かして、単調に見えない立体的な装いを組み立てていた。 DEREK LAM 2010-11秋冬NYコレクション DEREK LAM 2010-11秋冬NYコレクション DEREK LAM 2010-11秋冬NYコレクション DEREK LAM 2010-11秋冬NYコレクション DEREK LAM 2010-11秋冬NYコレクション ◆THAKOON(タクーン) 「Thakoon(タクーン)」はファーのボリュームを巧みに操ってみせた。顔をファー付きのフードで包み込んだり、袖にだけたっぷりファーを配したりして、ファーしか生み出しえない量感や優雅さをもたらした。白タイツの足首にもファー飾りをあしらった。その一方で、すべて白の重ね着という清楚でコケットなルックを披露して、ロマンチック&ガーリーなムードも詰め込んだ。フリルで埋め尽くしたミニスカートや、ヴェルヴェットのコンパクトドレスなどはプリンセス気分を浮き立たせてくれる。 THAKOON 2010-11秋冬NYコレクション THAKOON 2010-11秋冬NYコレクション THAKOON 2010-11秋冬NYコレクション THAKOON 2010-11秋冬NYコレクション THAKOON 2010-11秋冬NYコレクション ◆Boy. by BAND OF OUTSIDERS(ボーイ バイ バンド オブ アウトサイダーズ) ネオプレッピーを打ち出した「Boy. by Band of Outsiders(ボーイ バイ バンド オブ アウトサイダーズ)」はアメリカンクラシックに光を当てた。大学生っぽいチェック柄シャツの上に、毛足の長いファージャケットを羽織るミックスコーデはこれまでのトラッドの枠をはみ出し、メンズとレディスの境界線まで揺らがせた。トッグル付きの厚手コートや、ダブルブレストのメタリックボタン留めジャケットなど、学生ルックの定番的アイテムを持ち込んで、はつらつとしたムードを発散。裾を折り返した男の子っぽいパンツには、厚底のオープントゥを合わせ、逆にドレーピーな女の子顔スカートには、オックスフォード風のひも革靴でコーデして、マニッシュとフェミニンを交錯させた。 Boy. by BAND OF OUTSIDERS 2010-11秋冬NYコレクション Boy. by BAND OF OUTSIDERS 2010-11秋冬NYコレクション Boy. by BAND OF OUTSIDERS 2010-11秋冬NYコレクション Boy. by BAND OF OUTSIDERS 2010-11秋冬NYコレクション Boy. by BAND OF OUTSIDERS 2010-11秋冬NYコレクション レイヤードや新ボリューム、ロマンチック&ガーリーなど、様々な発想で盛り上がった2010-11年秋冬コレクション。ミックステイストの定着を追い風に、ハイとロー、ジェンダー、素材などの垣根を越えて、ネクストスタイルを探し続けるNYデザイナーたちの冒険は終わらない。 (ファッションジャーナリスト 宮田理江) 【画像協力】 3.1 Phillip Lim (http://www.31philliplim.com/) ALEXANDER WANG(http://www.alexanderwang.com/) Rodarte(http://www.rodarte.net/) (SWAROVSKI http://www.swarovski.tv) Boy. by BAND OF OUTSIDERS (http://boy.bandofoutsiders.com/) (GUTHRIE http://guthrie.co.jp/) DEREK LAM(http://dereklam.com/) THAKOON(http://www.thakoon.com/) (BRAND NEWS 電話 03-3797-3673) |
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