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インタビュー

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント プログラマー 鈴木孝尚氏インタビュー

創立50周年おめでとうございます。
50年というと半世紀ですから、歴史の重みを感じますね。先日、卒業修了制作展の審査員で会場に行った時も、ファッション、ヘアメイク、ビューティ、映像、ゲーム、パティシエなど、とても幅広いジンルの作品があって、この50年でクリエイティブ業界に確固たる地位を築いてきたんだなぁと感じていました。僕はその歴史の中でバンタンを卒業した一人なので、感慨深いものがあります。

僕がバンタン電脳学院(現バンタンゲームアカデミー)に入学したのは、20年ほど前のこと。当時は、ゲームの学校自体数えるほどしかなかったですが、学校を探している時にゲーム雑誌で見かけた学校の一つがバンタンでした。入学する前に行った学校見学で、ゲームに特化した技術をしっかり身につけられるなと思ったし、恵比寿という場所も刺激を受けられそうだと思ってバンタンに決めました。僕はゲームプログラムの知識はゼロで、ただゲームが好きという気持ちだけでプログラマーになりたいと思っていたので、最初は正直ちゃんとやっていけるか不安でした。でも、充実した授業のおかげで、数カ月後にはプログラムを作れるようになってきたので、知識がなくてもやる気さえあれば出来るんだと思いましたね。また、僕は割と講師や担任のスタッフに絡んでいくことが多かったのもよかったと思います。講師が業界の人で、現役でゲームを開発されている方もいたので、分からないことは質問したり仕事の話を聞いたりしていましたね。その繋がりから、卒業後すぐ仲良くさせてもらっていた講師が中心になってゲームをつくると言って声をかけていただいて、そこに参加したこともありました。

振り返ると、僕とバンタンとの関わりはとても長くて、学生として通っていたことはもちろん、OBとして訪問したり、フリーランスの時は講師としてお世話になったりもしました。今では、審査員としてイベントや行事に呼んでいただくことが多いですね。今の学生たちの作品を見て感じることは、プログラムなどの環境が良い分、作品にパッと見の見栄えや華やかさはあるのですが、結果似通ったものが多くなってしまっているなということです。もう少し業界の流行りに縛られず、いかに自分なりの個性あるものに変化させてくかが大切だと思います。そうやって苦労して作ったものが形になってお店に並んでいるのを見た時、それを手にとって買ってくれる人を見た時は嬉しいものです。これは、作った人間じゃないとわからない喜びで、開発者冥利に尽きるところですね。

最初はモノマネでもいいから好きなことを一生懸命やることです。プログラムでいうと、全然知識がなくて入っても半年1年としっかり学べば組めるようになります。心配する必要は全くないです。ただだからこそ、何のために自分はこの学校に来たのか、という想いや情熱を見失わないでください。失敗してもいいからたくさんチレンジして、自分なりのノウハウ・スキルを身につけていって欲しいと思います。

今後ですが、個人的には、ソニー・コンピュータエンタテインメントとバンタンゲームアカデミーでゲーム制作なのか、開発なのか、プロジェクトを企画して取り組めたらと思っています。他のバンタングループのみなさんと関わるのも面白そうですね。少々羽目を外していてもいいと思うので、良い意味で業界に染まっていない学生たちの創造性や独創性を取り入れて、何か新しいことを生みだしていけたらいいなと思います。